北海道の地震が冬に来たらどうなる?被災生活を想定し熱源確保について考える。

北海道の地震が冬に来たらどうなる?被災生活を想定し熱源確保について考える。

北海道胆振東部地震から約一月。
これからは物理的な復興に加え、大きく打撃を受けた道内景気などを回復させなくてはなりません。

旅行を計画されている方は是非ご心配なさらず、どんどん遊びに来てください。
開催時期が震災とかぶったさっぽろオータムフェストも、後半は連日美味しそうな話題であふれました。

冬でなくて本当に良かった?

一方で震源から離れた札幌にありながら、連日報道され続けた清田区里塚の地盤沈下。里塚の中でもさらに一部分なのですが、抜本的な復旧作業はまだまだ。

もう復旧というか調査して壊して埋めるしか無いのでしょうが。

復旧本格工事は来春以降 地盤沈下の札幌・清田区里塚 市民「冬になってしまう」:どうしん電子版(北海道新聞)


市道復旧は市が、宅地の復旧は所有者が行うのが原則だとした上で、宅地所有者に支援を行えるか検討する方針も明らかにした。

こんな災害が我が家に降り掛かってきたらどうなるのか?

衣食住を考える

札幌市公開のハザードマップを見ればおおよそのリスクはわかります。しかし確率で言えば悪魔のダーツがどこに刺さってもおかしくありません。
万が一厳冬の真っ只中に被災し、家が役目を果たさなくなったらどうするか。今回の地震で「本当、真冬でなくてよかった」という言葉を多くの人から聞きました。

衣は・・・ボードウェアでも着込んでアルミシートに包まるしか無いですね。携帯カイロのストックが必要。

食は問題。
今回は初秋で過ごしやすく、「冷蔵庫の物は腐るからみんなバーベキューで焼いて食った」なんて笑い話みたいなのもありました。
しかし冬になったら食材は凍ります。保存水だって。そうなると水分を含むものは食べられる状態にするのも一苦労しそう(結局道民は焼いて食うのかもしれないけど)

住は自宅へのダメージが分かれ目。
地盤沈下や一部倒壊などで密閉できないなら冬は避難所に頼るしかありません。
家が無傷であれば、暖房について備えがあれば自宅生活がおくれます。ため水を作ってもトイレが凍るでしょうから、我が家に居ながら簡易トイレが必要になるかもしれませんね。

熱源確保が第一

避難所生活に入る場合は、すべてを行政に委ねることになるので除外します。

冬季に我が家で被災生活を送るには、全てにおいて熱源の確保が重要と考えました。熱があればそれを保温して住むことができます(それでもサバイバルでしょうが)。調理ができれば食事のバラエティが広がり、メンタルのケア、はては継続的な被災生活に繋がるのではないでしょうか。

実家の東北では3.11の際、北海道より断熱性の低い家で雪がちらつく中、四日間も電気なし生活を余儀なくされたそうです。怖すぎる。

熱源利用その1:暖房

「電気・ガス・水道が止まっても利用可能」
なことを条件に、用意可能な備えを考えてみました。

順番は「日常生活に変化を与えずに備えられるもの」が一番上。後になるほど初期コストが高い、定期的な補給/入れ替えが発生する、非常時にしか使わない、など備蓄(にかかる)コストが高い手段です。

1.マイカー

持っているなら有力な設備です。
普段遣いは当然しますし、電源も暖房も常備。空間が家とは別なのが問題といえばそう。

防災の備えとして、常にガソリンを一定以上入れておく心がけが必要でしょう。札幌も約3日ほどガソリンスタンドには長蛇の列ができました。こうなると待っている時間は苦痛だし、やっと順番になっても希望数量を入れてもらえません。
今回はさらに電気が止まったため、現金でしか支払えないという二次問題?もありました。2000円を車内に忍ばせておきましょう。

2.石油ポータブルストーブ

これが今ホームセンターでもかなり売れている様です。
マッチor乾電池で着火でき、灯油がある限り使用可能。そして家自体を温める能力があります。

問題はその灯油の確保。
ポリタンクで買い置きも一つの手段ですが、定期的な補給、安全な保管に備蓄コストがかかります。
北海道の戸建てであれば、400Lのホームタンクがあるためそれが常備になります。定期配送を契約しているので平時は手間いらず。そこから取り出すための巨大な灯油ポンプは買わなくてはなりません。

3.カセットガスストーブ

我が家で狙い中の商品。カセットガスは備蓄しやすく扱いやすさがメリット。普段使いもしやすく備蓄コストは低め。

ただし熱量が少なく空間を温める能力はありません。ボンベが2時間ほどでなくなるため、暖房の単価が高い事はディメリットです。
品薄らしく、注文したんですがキャンセルされてしまいました。商品再選考中。

ブルーフレームヒーターで有名なアラジンから今度カッコいいカセットガスストーブが出るそうです。

Portable Gas Stove | Aladdin(アラジン)公式サイト


4.薪/ペレットストーブ

無期限で常備でき、暖房能力も家全体を暖められるレベル。
これがベストなんですが、家の改造が必要。もはや住み替えよね・・・

熱源利用その2:湯沸かし(調理)

お湯があれば調理もできるし、頭もあらえます。同じ条件でこちらも考えてみました。

1.カセットコンロ

これも震災後のホームセンターでかなり売れていました。
カセットガスストーブと燃料が共通なので備蓄コストが低め。季節を問わず常用もしやすい製品です。

2.炭と七輪/BBQコンロ

北海道では持っている家庭が多く、備蓄コストも少ないと思います。夏場は普段使いしてる家も多い。我が家では七輪だけ勢いで買ったものの、炭を買わず未使用でした。真冬に焚き付けられるかわからないけど、買っておいて夏は肉でも焼こうかな(道民思考)

常用してる人からするとおすすめらしく、より深刻な震災となれば「燃やすものには困らない」というもっともかつ物騒な意見がありました。

3.インバータで100Vを作る

趣味と実益を兼ねた選択肢。
車があるなら初期投資のみで常備可能、そして多様に使える電気の良さは言わずもがな。

家の灯油ボイラーは暖房用も給湯用も、点火時が700Wで安定時80W。これを動かすことができたらホームタンクの灯油を使って暖房を動かせそうです。

AC-DCインバータは製品選びに2つの注意が必要だそうです。

1つは電源投入時に高負荷(=突入電流)が発生する製品を使う場合。表示された定格の5倍ほどの電力に耐えられるインバータが必要です。

  • モーターを使ったもの(扇風機、ドライヤー)
  • コンプレッサーを使ったもの(冷蔵庫、冷凍庫)
  • 照明器具(蛍光灯など)

参考:DC/ACインバータご購入時基礎知識・注意事項|遠藤科学NetShop

2つ目は電源波形。安くて大容量のインバータは家庭のコンセント(正弦波)とは異なる短形波が出力され、一部機器では正しく動かないとのこと。それらを使う場合、値段は高いですが正弦波出力をうたった製品が必要。

  • 電気ポット
  • 薄型テレビ
  • 調光器
  • 医療用他精密機器

参考:車内で家電製品を使用するには 【通販モノタロウ】

4.ポータブル発電機

これもあれば文句なしの設備。

野外パーティーでもやらない限り使うのは非常時で備蓄コストが高い。また燃料がガソリンなので、ガソリン携行缶で常時備蓄する必要があるのは手間です。灯油のようにポンプで車から吸えなくもないけれど、非常時のガソリンは貴重品。発電に回すかは悩ましいのではないでしょうか。

ガソリンを使わないカセットガス発電機をホンダが発売しています。13万円と高価だけれどストーブ・コンロとトータルで揃えれば備蓄コストは抑えられそうです。

備えはコストとのバランスが大切

検討した熱源のうちそれぞれ一つ、できれば2つあれば冬の被災生活ができそうな気はします。

備えは沢山あれば安心だけど、備蓄場所は有限です。補給、入れ替えが必要な備蓄については10年20年と継続して備えられるものでなくてはありません。

長期的な回復への備えも必要です。
今回の話を追うと、札幌ではたとえ市が造成・誘致した土地の液状化であっても、個人宅の復旧は個人に責任があるとの事。いくらかの助成金はでますが、家一棟の半壊はおおよそまかなえません。

備蓄だけで散財してしまわないよう、トータルでのバランス感覚が大切だと思います。

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