TPA1517NE、気に入ったのでもう一台
以前、TIのTPA1517NEを使ったAB級アンプを自作しました。
- TPA1517NEを使ってAB級アンプを作る – その1 | 徒労日記
- TPA1517NEを使ってAB級アンプを作る – その2 | 徒労日記
- TPA1517NEを使ってAB級アンプを作る – その3 | 徒労日記
出来上がったアンプは思いのほか高音質で低コスト、低消費電力。今でも我が家のリビングにてMonitor Audioのスピーカーを鳴らしています。
今回は友人からストックしてるTPA1517NEを分けてもらったので、メインPCに使っているTA2020デジタルアンプを入れ替える事にしました。
部品は秋月電子決め打ち
回路は前回と同じくtpa1517-dual 6W+6Wスピーカーアンプキット – ビスパのパーツ通販・販売のDual-Mono構成、差動増幅回路を使ったアンプです。デカップリングに入れるセラミックコンデンサだけ、0.01uF以下を省略しました。これは1.111…uFと容量を端数にする事で周期的な唸りが起きないようにしている、とかだった為。
あと前回と違うのは北海道から通販で揃えたました。望みのモノを買うため何店舗も使うのは面倒なので、一番揃いやすかった秋月電子一択。下のパーツリストはメインの基板のみで、ボリュームやケース、各種ターミナルは含まれていません。
項目 | 数量 | 備考・型番 |
TPA1517NE | 2 | 譲ってもらいましたが マルツで買えます |
三端子レギュレータ | 2 | 12Vならなんでも可 5個セットのL7812CV |
ユニバーサル基板 | 1 | 95x72mm ガラスコンポジット AE-B2-CEM3 |
インダクタ | 1 | 100uH 2A LHL13NB101K |
抵抗 10kΩ | 2 | 通販の単位は100本 RD25S 10K |
デカップリングコンデンサ 100uF 16V | 2 | OS-CONの固体タイプ 16SEPC100M |
デカップリングコンデンサ 470uF 16V | 6 | 同上 16SEPC470M |
入力カップリングコンデンサ 1uF 25V | 4 | PMLCAP 25MU105MA23216 |
入力カップリングコンデンサ 0.1uF 50V | 4 | PMLCAP 50MU104MA13216 |
並列用 デカップリングコンデンサ | 6 | チップ型積層セラミックコンデンサ Panasonic製 ECJKVB1E104K |
ターミナルブロック 2Pin | 5 | お好みで TB1112-2-U-1-1 |
配線材 | 適量 | ハンダ:Kester 線材:BELDEN 8502 |
カップリングコンデンサ
ルビコンの薄膜高分子積層コンデンサ(PMLCAP)というチップコンデンサを使いました。
一袋で昼飯一回分!まあ他のフィルムコンデンサ買ったらもっと高い訳ですが、この大きさでこの値段!?と思わずには居られません。そしてGRの絞りが変でした。スマヌスマヌ
特徴は色々あるようですが
薄膜高分子積層コンデンサ“PMLCAP”の特徴と活用/コンデンサ、キャパシタ、電源ユニットのルビコン株式会社
PMLCAPは入力部分の直流カット用カップリングコンデンサや出力フィルタに使用されます。音質としては、中高域の透明感が増します。また、出力フィルタに使用すると、容量変動がないためフィルタ特性の変動が小さくなります。
という事で期待。
制作
今回の部品レイアウトと引き回しは以下を優先して考えました。
- 音声信号が通るところはBELDENで最短配線
- GNDラインは長くハンダ多め(放熱の関係)
- 可能な限り分離かつ左右同パターン
今回はチップコンデンサをユニバーサル基板で使うという課題もあります。2.53mmピッチにギリギリ収まってくれたので、プリント基板と同様に片側づつ滑り入れる様に半田付けしていきました。
そして完成したのがこちら。
ICの4,6pinは宙に浮かせてそのままOUTのターミナルへ。100uF/470uFペアがICと離れているのは大きなヒートシンクと間のランドにチップコンを追加出来るよう考慮したため。
紫色に見えるのが並列化したカップリングコンデンサ(PMLCAP)。Vout側を除くOS-CONの足の間には積セラのチップコンが入っています。
配線ミスだけ念入りに確認し、TA2020と基板を入れ替えます。ターミナルがあると配線作業が楽で楽しい。念のためそれぞれヒートシンクを装着。
使ってみて
ポップ音
気にならないレベル。プツと聞こえるだけでコーンが動くのはわかりません。
友人がTPAを「オフセット電圧が100mV以下の固体」として選別してくれていたおかげでもあります。IC自体にDePOP回路がありますが、これなら要らない。
音
結論としてTA2020より満足しています。量感たっぷりの中低音によく伸び艶のある高音。Youtubeなどのストリーミング音源でも聴き応えのある音にしてくれます。
ただ低音に関してはTA2020が締まっていたのか、このTPA1517が盛っているのかはわかりません。8月号付録の自作スピーカーとの組み合わせではソースによって長大に感じました。またMonitor Audioに比べて、チェロの響きなどが若干眠たく聞こえます。女性Vo.の声は全然好みなんですが。
消費電力
12V2AのACアダプタで動作させた場合、通電時は2W、音を出している時は3W、かなりの大音量でも4Wと相変わらずデジタルアンプ並の低消費電力です。
温度
密閉の缶に入れている事も有り気になるポイント。室温20℃で1時間連続再生し、非接触温度計で温度を測りました。
箇所 | L ch | R ch |
TPA1517NEヒートシンク | 34.5℃ | 39.8℃ |
三端子レギュレータヒートシンク | 29.1℃ | 31.9℃ |
安全な範囲であるものの、なぜかR chだけ温度が高いという結果に。オフセット電圧等の個体差により発熱にも差が出ているのかも。コンデンサ自体にも温度差が出たため、TPAからの発熱がGNDを通して各パーツに伝わっていると考えられます。