サーバなどで使うサイズのUPSが手に入ったので、「これは災害時の非常電源として使えるかも?」といろいろ調べてみた。
結論から言うとツカエナイ。
どんな部分がだめだったのか。
興味がおありの方はこのままお読みください。
APCの液晶付き世代モデル
今回のUPSはこれです。
SMT1500J – APCのSmart -UPS 1500 LCD用100V | シュナイダーエレクトリック
日本では「APC」としたほうが話が通りやすいかもしれません。
そこを買収したSchneider Electric Japanは「?」なメーカーでしたが、この前ベトナムではしこたま見ました。大手電力機器メーカーのようです。
100Vの家庭用コンセントに接続できて1500Wまでの出力が可能。どれくらい保つか=ランタイムは負荷装置による。
非常用電源として使うには
以下の要素が必要と思います
- 停電状態でも電源を入れられる
- 自然放電が少ない
1.について非常電源としては当然に思えるかもしれませんが、なにせ専用品ではないので心配。
2.は一度充電したら暫く締まっておいても、いざという時減ってないのが理想です。
1.停電時に電源が入れられるか?
そして調べてみた結果悲しみの答えが。
Q3 商用電源がなくてもUPSは起動できますか(コールドスタート)?
Smart-UPSシリーズ: 商用電源入力がないと起動できません。
停電前にUPSを起動している場合は、バックアップ運転します。
Smart-UPS RT、Symmetra RM/LX、APC ES/RS/BGシリーズ:商用電源がなくても起動が可能です。
ずばり書いてありますね!
単体でいじってても「あれ、入らないなー」って思ってはいたんです。
車まで運べば、前に買ったインバーターで電源ONできるかも?という疑問については
Q4 市販の発電機を電源としてUPSを運転させたい。
Smart-UPS、APC ES/RS/BGシリーズでは常時商用給電方式やラインインタラクティブ方式を採用しており、正常に動作しない場合やUPS自体が故障する恐れがあります。
Smart-UPS RT、Symmetra RM/LXシリーズは常時インバーター方式を採用しています。
発電機の種類も多様であり、個々の動作保証は一切できかねますが、UPSの倍の容量の発電機であれば、使用できる可能性は否定できません。(事前に発電機とUPSの接続運転を確認することが必須です。)
なお、発電機に接続したUPS装置をバッテリー稼動させることについては、本来の製品使用目的とは異なります。
こうした目的外使用での動作不具合や故障については、サポート、返品等を承ることはできかねますことを予めご了解願います。
これは純粋にサーバールーム等で建屋停電時にポータブル発電機で起動できるか?という疑問でしょう。
答えからすると一縷の望みはありますが、やはり正弦波出力が必要でそのうえで相性次第、みたいなのが伺えます。
2.自然放電は少ないか?
入手してからフル充電し、バッテリープラグを抜いた状態で放置してみました。
4月4日に測定一回目。
2019年4月4日 20:08
バッテリー残量100%
ランタイム 5h35m
ランタイムは目安ですが、無負荷だと5時間35分もつよ!という表示です。
2019年6月4日 21:13
バッテリー残量91%
ランタイム 5h4m
丸2ヶ月放置して、減りは9%。単純に半年放置すると3割も減ることになります。
この点から数ヶ月おきの充電が必要そう。
UPSはUPSらしく常時通電
以上の結果から、「サーバ用UPSは家庭用非常電源に使うのは厳しい」という結論に達しました。
頑張って使ってもいろいろコストがかります。
こうなると、本来の使い方通り常時通電しておいて災害に備えるしかないのかなぁ。
ただ電源ON時の消費電力は無負荷でも5-8W。約LED電球一個分の電力を24/365消費するのは備えとしてコスト高。
やっぱり餅は餅屋。専用の災害対策電源を検討したほうがよさそう・・・。
初めまして。
「結論から言ってツカエル(タ)」方面でお話します。
東日本大震災以前より家庭に750級3台1500級2台を供えていました。その時の教訓から。
Smart-UPSシリーズはコールドスタートができないので、どれか1台は常時商用電源に接続しておく、
他のUPSはそこから充電するようにして、満充電になったら電源を切り、バッテリコネクタも外す。
月に1回は充電をする。
停電になって、さらにUPSが必要になったら、常時接続につないで起動し、こちらも使用するというものです。
≪要求仕様≫として、安全なシャットダウンと光電話とインターネットとFAX・留守電ができることが最低条件です。
当時は光電話の中継局の電源は無保証でした(バックアップ電源はありましたが無保証)ので黒電話も残してありました。
停電時は、サーバ、光終端装置、ルータ、イーサスイッチ(いわゆるハブ)、電話機、
FAXに電源が供給されなければなりません。
黒電話はアナログ線で電源が供給されるので考慮しないですみます。
≪実際停電してみて≫意外な盲点はイーサスイッチでした。停電してから数分間以内に復旧すると、
再起動しない仕様のものが1台ありその先の機器が見えなくなることがわかりました。
以後UPSに接続するようにしました。(停電時の電力使用量の増加)
バッテリーを冷やすためにファンが結構回る。(精神衛生上よくない)
古い電気毛布や足温器は温度調整にトライアックを使っていて、この雑音にUPSが反応してしまう。
停電時に熱帯魚の保護を考えている場合は確認した方がよい(10W程度の設定でも影響あり)
自分宛てにUPSにつないでいないPCからメールを定期的に送るようにしておけば、出先から異常検知ができて、
リモートシャットダウンできる。
ガソリンはあてにできないし保管も容易ではない。(ガソリン待ちで凍死なさった方も)
発電機は燃料を検討した方がよい。車のアイドリングから電力を得ようとしても、無駄にガソリンが減る。
灯油は保管が比較的容易でストーブで採光から煮炊きもできる。
様々なものが落下散乱していたのに、ネットワークとサーバは(黒電話も)無事で通電状態でしたが、
果たしてこれでよかったかどうか、今でも疑問です。(地域は停電しているのに屋内の一部で充電状態)
≪あきらめたもの≫冷蔵庫はいつモータ起動するか読めないし、起動時の電力も大きい。
風呂はプロパンなのだが、自動湯沸かし器なのでやはり電力が必要。復旧してからでいいや。
(カタログ上起動可能)バランス釜復活か?コンロは電池があるから湯は沸かせるし。
蛍光灯。あえて禁を破ることもないかと。
扇風機は不要だったが、多分だめの方向で。
≪10年経ってみて≫サーバ等の電力が減ったのが大きい。ノートPCもサーバの替りに使えるし。
OSも良くなって、ガチャンと落ちてもダメになることがほとんどない。
だいたいの物がUSBで動くし、LED化も進んで、UPSは粛清の方向。
どのみち、冷蔵庫、クーラーは使えないので、守るべきものは、光終端装置、ルータ・WiFi、イーサSW、常時起動サーバ類です。
ホットスタート不可のUPSでも、バッテリーを取り出してシガープラグに挿すUSB電源をつなげば、最悪スマホは充電できますし。
厄介なのはノートPC位でしょうね。(正弦波のみ保証が多くなった)
東京電力によれば、大規模災害以外の停電の確立は5年に1度位のようです。実際震災以降、落雷で2回、人災で1回、倒木で断線ではないものの、伐採作業の安全のための停電1回でした。
以上から考えて、コールドスタート可能な750クラスの中古を1台買って、バッテリーを秋月で新調して、USBバッテリーとチャージャーをできるだけ買い込むのが吉なのではないでしょうか。
充電にかかる20Whのコストは、まあ保険ですね。(30Wh程度のサーバとネットワークのために20Whとは。とほほ)
熱帯魚とガソリン発電機はあきらめてくださいな。
≪やってみたかったこと≫火気厳禁の公園に3000クラスのUPSを持ち込んでIHで焼き肉をすること