Rancilio Silviaの後付PIDコントローラでスチーム温度も制御する

Rancilio Silviaの後付PIDコントローラでスチーム温度も制御する

少し前に、2,000円で買ったコントローラでRANCILIO Silviaの湯温を制御する話を書きました。

買い集めたパーツで組むRancilio SilviaのPID温度制御 -完成編-

当時は抽出の温度しか制御していません。
今回、この2,000円のコントローラにもう一役かってもらう方法を思いつきました。
スチーム時のヒーター制御もコレを使って実装してみます。

アラーム端子の活用

今回使うのはPIDコントローラで未使用だった4番と5番のAlarm端子。

この端子は指定した温度Aより下がるor上がるとクローズ=ONします。そして指定した温度Bまで上がるor下がると端子間がオープン=OFFします。

この端子を使い、スチームモード(?)時にON/OFFするSSRをもう一個制御することができそうです。
そうすればサーミスタよりも細かい制御で、ボイラーを温められるのではないでしょうか。

この端子の動きは温度A,Bとなるパラメータ”AL1″,”AH1″の関係で決まります。

AH1<AL1の時

低温アラームモードです。
PV(現在の温度)がAH1を下回るとクローズ。
加熱されてAL1を上回るとオープン。
電源投入時などAH1を下回っている間はずっとクローズになります。

PIDは無い条件制御だけれど、ヒーターを点ける・消すくらいならこれでOK。

AL1<AH1の時

高温アラームモードになります。
PVがAL1を超えるとクローズ。冷めてAH1を下回るとオープンになります。

オーバーヒート防止のファンとか警告灯とか、そういうのがこのモード。

スチーム用SSRの追加

AC電源用SSR

今回もSSRは同じメーカーのモデルを購入しました。

SSR-10AA SSR-25AA SSR-40AA 10A 25A 40A Solid State Relay Module 80-250V Input AC 24-380V AC Output

SSR-40AA 429円送料無料。
抽出制御に使ったSSR(以降抽出SSR)と違い、今回はAC電源タイプです。

前回はPIDコントローラのSSR用端子を使ったため、DCタイプのSSRを直接制御できました。
しかし今回のAlarm端子に電圧出力はなく単純に開閉するだけ。

そこで別途AC120(以降100V)Vを引き込んだ閉回路を用意し、それをコントローラでOFF/ONすることで動くAC用を選びました。

SSR2次側の配線から

やりたいことはシンプルです。
抽出制御と同様にサーミスタを外し、その代わりにSSRを入れるだけ。

まずSSRの2次側=実際に約1000WをOFF/ONする方から着手します。
スチーム用サーミスタ(140℃)をボイラーから取り外します。

次に浮いたグレーとイエローの端子に、スチームSSRの2次側を接続します。

ただグレーは既につながっている抽出SSRと接続先が一緒。
SSR<>ヒーター間の配線を1本減らせるので、SSR側で並列接続する事にしました。
(下の写真参照)

とはいえ、理解を誤るとショート⇒焼損の恐れがあります。
何度も頭の中で「大丈夫だよね?」と観点を換えレビューしながら配線していきました。あーー頭固いってやーね。

配線は前回同様、14AWGの耐熱電線を使用しました。

SSRの1次側配線は検討

1次側はリレーを駆動するだけなので、2次側ほどの危険はありません。
とは言えAC100Vなので不安はあります。

諸元を確認することにしました。
結果SSRの制御(消費)電流は12mA。Alarm端子の許容は250V3Aまで、そして手持ちの耐熱配線材(協和ハーモネット UL3265 AWG24)の耐圧は150V7Aまで。

この細い線材でも120V12mAなら流し大丈夫そうです。
珍しく出自のはっきりした線材持ってて良かった。

搭載位置に困る

2個目のSSRは設置場所に困りました。
水タンク底面にはそこ迄のスペースがありません。

考えた末、ネジ穴を開けるのはイヤなので3方向バルブの切り抜きに引っ掛けるように固定しました。
シャーシ放熱が半減しているけれど、1個目もほぼほぼ発熱しなかったので大丈夫でしょう。

タンク裏の板金にも、大きなバイブレーションポンプにもギリギリ当っていません。
ポンプが振動で接触しない様、ゴムシートを挟んで動きを制限しました。

コントローラの配線

最後はコントローラ側の配線。

ここでも配線を減らすため、AC100Vのうち1本はコントローラの電源からジャンパーで取ります。

5番に繋がる黄緑色が、スチームSSRの1次側からの配線。

試運転で動きを確認

何度も配線に矛盾が無いかを確認し、組み上げて電源を投入。

・・・

どうやら発火はしないようです。

常時表示される数字がPV。そして左LEDが抽出SSRのON、右LEDがスチームSSRのONを示します。

まずはスチームスイッチをONにし、そのまま電源を入れると両端のLEDが点灯。想定通りスチーム温度まで加熱できることを確認しました。

次に、改造の効果が現れるスチームモードのボイラー温度をチェック。
一度最高温度まで上げた後、どの様に再加熱が行われるかをテストした結果が以下です。

自然冷却時
(AH1=124,AL1=127)
自然冷却時
(AH1=130,AL1=132)
スチームをショットし
急激に温度変化させる

(AH1=130,AL1=132)
最低温度123.7℃129.8℃126.5℃
最高温度131.8℃136.4℃136.9℃

ヒーターは一度加熱に入ると、通電をとめてもオーバーシュートして5℃くらいは上がるようです。
そしていざスチームを使って温度低下が始まると、ヒーターが入っても3.5℃くらいは下がる事がわかりました。130℃でスチームは止めてこうですから、当然出し続ければどんどん下がるでしょう。
モーターのようにスパッとオンオフできないのが熱器具の難しい所ですね・・・

作って満足ではなく

というわけで、機能的にはサーミスタよりも高精度な温度制御ができるようになりました。

ただし、そもそもの改造目標は「常にドライスチームが出せる事」にあります。
ボイラーの安全温度内に収めつつ、如何に高温をキープするか。

小さいボイラー、120Vという制限の中でベストを探す試行錯誤が続きそうです。

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