第8世代のIntel CoreプロセッサとZ370チップセット&採用マザーが発表されました。つい先日Gigabyteもラインナップが発表され、これで国内流通大手は出揃った形になります。
Z97+i7 4790Kに組み替えてから3年。第4世代CPUのシステムもそろそろ買い替え時かなーという事で、再び「Mini-ITX縛り」で新しく発表されたZ370マザーボードをチェック、検討してみようと思います。
Gen7世代の比較記事はこちら。
ASUS
ROG STRIX Z370-I GAMING | マザーボード | ASUS 日本
ROG STRIX Z370-I GAMINGはハイエンド”ROG”の一つ下となる、メインストリームゲーミング”ROG Strix”にてラインナップ。トップに書いてある特徴がAura Syncなのはどうかと思いますが、各社自分のところのイルミシステムにサードパーティも巻き込もうと必死なので仕方ない所でしょうか。実際この部分はASUSのAura SyncとMSI MYSTIC LIGHTで覇権争いをしている気がします。
NICについて少し詳しく書かれており、有線はIntel I219-VにてTCP&UDPオフロード=通信によるCPU負荷軽減を行うとされています。実際I219のオプションにはオフロードが用意されているけど、他社が推してるKillerなどのNICに対してどれだけ追従できるかはデータがありませんでした。無線は2×2のMU-MIMOに対応しており、コントロールツールGameFirstにてゲームタイトルによるQoSが可能。
オーディオはSupremeFX S1220AとオペアンプによりALC1220より高い入力S/N比113dBを実現。出力S/N比は120dB。VRヘッドギア対応やゲーム音から敵を判別するソナーOSDなどゲーミングシーンで重要度が増しているサウンドへのサポート強化が行わています。
2つのM.2ソケット(PCIe Gen3.0 x4)を備え、NVMe SSD RAIDをサポート。写真からは2つ目のM.2ソケット位置が読み取れません。もしM/B裏面となれば冷却に差が出る可能性はあります。
GIGABYTE
Gigabyte Z370N-WIFI – Specificaties – Tweakers
何故かMini-ITXだけ情報公開が遅いGIGABYTE。まだメーカー公式にはどの言語でも情報が出ていません。リンクは情報サイトのものです。
それによるとASUSと同様に2つのM.2ソケット、Intel I219V NIC、オーディオは普通にALC1220。マザー自体が光りまくりのAORUSシリーズではありませんが、同グレードのZ370M D3HがRGB FUSIONに対応したため、7色RGB LEDテープには対応しそうです(パッケージに微かにロゴが見えます)。
現行のGA-Z270N-WIFIからの差を目視するとPCHとルーフ状についたVRM用?Mini PCI-E用?大型ヒートシンクに目が行きます。ネジも無く一見外れなさそうでもM.2スロット2個が本当なら、ASUS同様の挟み込むスタイルをとるのかもしれません。あとはバックパネルからDVIがなくなりその代わりに薄いコネクタが見えます。HDMIもDisplayPortも他にあるし、何でしょうか。デュアルHDMIポートかも。それに伴いWi-Fiアンテナ端子が移動したため、SPDIF(TOSLINK)が割愛されました。
正式情報掲載時にはスペックが変わるかもしれませんね。
MSI
現時点では最速のDDR4-4500+(OC)まで対応するマザーボード。多くの周辺機器ベンダーを巻き込んだイルミシステム”Mystic Light”対応が一押しポイントみたい。
またMSIは一貫してMILスペックの高耐久コンポーネントを採用し安定性の高さを売りにしています。他社ではPCI-E Slotのみの補強をメモリスロットにまで施す気の使いよう。メモリスロットにそこまで強度が必要かはともかく、あって安心な事は確か。
M.2スロットは裏にあるので放熱は少し厳しいかもしれません。
NICに関してはASUSと同じチップを採用しておりMU-MIMOやアプリによるQoSなどできる点は同様。オーディオに関しては汎用ALC1220ですが、フルサイズのケミコンを使用し、オーディオレイヤーをパターンで分離するなどPCBデザインにも気を使ってる、とあります。
USB Type-CはASmedia 3142を利用し10Gb/sと高速。
ASRock
ASRockは唯一最初からゲーミングモデルと、価格帯を下げたメインストリームモデルの2ラインを発表しています。
Fatal1ty Z370 Gaming-ITX/ac
構成は上記3社に大分似ています。基盤裏のM.2スロット、有線Intel I219V/無線Intel WiFi Module 8265による2×2 MIMO。ALC1220による出力S/N比120dBオーディオ。メモリはDDR4 4333+(OC)までの対応。PCIEスロット側がブランドカラーの赤で光ります。外部のLEDストリップ用のコネクタも1個有り。
特徴としてUSB Type-CポートがThunderbolt™ 3に対応。12V3Aの36Wまで出力できるUSB PD 2.0にも対応し、40 Gb/sの高速転送が可能。おそらくディスプレイ出力も可能でしょう。また以下Z370M-ITX/acと比較してHDMIは4K/60Hz出力をサポートしています。
Z370M-ITX/ac
オーソドックスな構成のZ370M-ITX/ac。
メモリはDDR4 4000+(OC)まで対応。2つのIntel NIC(Intel® I219V,Intel® I211AT)を持ちTeamingが可能。2つのHDMI出力が2つあるのは珍しいけど4Kは30Hz出力までの対応なので動画を期待する人は注意が必要。USB Type-Cコネクタはなく、M.2スロットはATXマザーなどと同じ一般的搭載方法。その横にチップセットが並んでいるため、CPUが他の製品よりも外周にオフセットされています。コンパクトなケースに大型のヒートシンクを搭載する場合は干渉する恐れあり。メインストリームは純正タイプのトップフロー型CPUクーラーを使う想定なのでしょう。
オーディオも汎用的なRealtek ALC892。少し物足りなさはあるけれど、シンプルで入手しやすい価格帯になりそうです。
Supermicro
C7Z370-CG-IW | Motherboards | Products – Super Micro Computer, Inc.
サーバ用マザーの方が有名なSupermicroも最近またコンシューマ向けの製品をリリースし、秋葉原でも何点か取扱があるようです。
飾りっ気のない製品ページで特徴が見えづらいものの、強化されたPCIEスロットやメモリスロットなど、ホビーユースを想定していそう。メモリは同社らしく堅実にDDR4-2666MHzまでのサポート。Intel I219Vの有線LANとALC1220の8chオーディオを搭載。Wi-Fiコネクタが確認できますが仕様には記載なし。情報は後日アップデートされるようです。
個人的にはチップセットヒートシンクと位置的にかぶってるM.2がどう搭載されるのか気になります。この大きさのヒートシンクと熱結合しても冷却効果は期待できず、ただ覆い被さるだけだとSSDが冷えそうにありません。
肝心のCPUがまだ!
第8世代のCoreプロセッサ、開発コードCoffee Lake-S。そのグローバル市場での発売日10月5日に合わせて各M/Bも発表?発売?されました。ただし世界的な供給が追いついておらず、日本での発売は4Q、早くても11月末になりそうとの見込み。クリスマス商戦ですね。
- 【笠原一輝のユビキタス情報局】第8世代Coreプロセッサ“Coffee Lake-S”が日本で10月5日に発売されないワケ – PC Watch
- Coffee Lakeの日本市場での販売解禁は11月23日に決定。ワールドワイドから遅れること約2カ月後。
開発コードネームに-SがつくとiPhone ○sみたいなマイチェン感があるけれど、内蔵コア数が物理6コアになった影響で同じSocket LGA1151ながら下位互換がありません。Z170/Z270マザーでは第8世代は動作不可という事です。
個人的には随分無理やりだな、と感じました。本来コア増加みたいな目玉アップデートはCPUソケットが変わった時に華々しく行われることがほとんど。それが今回で最後と思われる(過去CPUソケットは2世代ないしマイチェンを含む3世代で入れ替えられる)LGA1151ソケットの最終時代に下位互換まで無視して持ってきたのは違和感があります。これは先にコア数を増やし、コンシューマ向けでは久しぶりのブームを巻き起こしたAMD Ryzenを無視できない焦りが少なからずあるのでは、なんて素人ながら邪推してしまいます。
ともかく、マザーを先にチェックしたものの発売は一月半は先。その間に今回出ていないASUS、MSIのメインストリーム向けモデルやGigabyteの詳細、Z270は発売しているBIOSTAR、ECSも遅れて製品を発表するでしょう。
Intel® 300 Series Chipsetsは現在の所Zのみ。これがH,B,Qシリーズも揃えて拡充するのか、在庫飽和気味なZ270の処分促進のためにも切り替え予定のLGA1151は増やさないのか興味深い点です。B350チップセットとか出したらAMD B350とダダかぶりでAMDにしてやられた感ありますしね!