前回の記事(とうとう2wayスピーカーが付録に。「Stereo 8月号」が届きました。| 徒労日記)にて付録スピーカーでとりあえず音をだす所まで書きました。今回は高域の鳴り方を改善するため、フルレンジで動いているウーファーをハイカットフィルターで低~中域専用にしてみます。
雑誌の付録に幾らまで出せるかという難問
そこで素直にフォステクスの0.3mH 空芯コイルを買えばいいんですが、3,800円の雑誌付録に2,400円のパーツを足すのは腑に落ちないという貧乏性。効果があるか確かめるつもりでならコイルは何でもいいんじゃね?という訳で全くオーディオ用じゃない100円の電源用330uH(0.33mH)インダクタを買ってきました。 TDKのTSL0808Sという「電源系に最適な低Rdc大電流タイプのラジアルリードインダクタ」だそうで。正直線は細いですが、アンプの中を覗けばコンデンサの足だってこんなもの。
これをバラック状態のスピーカー、ウーファーの+側に直列接続します。ついでにツィータ側の雑誌付録コンデンサをやめ、余ってた指月のフィルムコンデンサ1uFx2個並列に交換しました。
330uHのコイルにしたのは記事に0.3mH指定があったため。ただ、-6dB/oct.型のネットワークにおいて0.3mHのコイルはクロスオーバー周波数fc=4.3kHzを目指して減衰(ハイカット)するそうです。それに対して付属コンデンサ1uFはfc=19kHzのハイパスフィルタ。ずいぶん開きがあります。
本来コイルでfc=4.3kHzにするならコンデンサもそれに合わせて4.7uFに増やさなきゃダメなのでは?と思いつつも、手持ちも確信もないのでとりあえず2uFにしました(fc=10KHzくらい)。
周波数特性の測定
環境
相対的に見たかったので測定そのものは適当です
- 音源、録音:WaveGene&WaveSpectra(なんだか敷居の高そうなスピーカーの周波数特性を測定してみる。| 徒労日記)
- DAC:VICS PCM2704(セルフパワー化済)
- アンプ:デジタルアンプキットTDA7491KITの製作| 徒労日記
- マイク:TX-NR626付属のAUDYSSEY測定用マイク
- 録音:SAVERTOOTH 990FXのオンボード蟹(ALC892)
変更前
誤差確認のため、2回測定してバラツキの確認しました。
500Hz~1.5kHzまで多少の差はありますが概ね同じ結果となっています。100Hz以下はメインマシンの水冷ポンプ音や車の走行音などでハネてしまい参考になりません。リアルタイムで見ていても80Hz以下は環境音以下のレベルしかなさそう。
変更後
こちらも2回測定しました。
色選びを失敗した為重なり部分が分かりづらいですが、こちらも概ね一緒になりました。1~2kHzのあたり、1回目の方が乱れが少ないくらい。
重ねてみる
それぞれ安定している方の波形を重ねあわせて比較してみる。
- 500Hz~900Hzあたりのレベルの上昇
- 1kHzより上の全体的な減少、平滑化
が読み取れました。変更前は2~4kHz、6~10kHzに2つのコブの様なピークがありましたが、変更後は尖りが減って幾分なだらかになっています。またそのまま10kHz以上の帯域で-10dB弱の減衰があります。
結局聴いてみた結果
若干高域の耳障りな部分は減った気がしますが、根本的には無くなりませんでした(グラフの通り)。一般用インダクタを使った事による悪化もそれほど感じません。現在の音がそれ以前の問題というのもあります。
WaveGeneから出る音を聴いて分かった事ですが、自分が「耳に痛い」と書いたのは2~3kHzの音域で、fcよりも低い周波数。
という訳で「スピーカーの固定方法が怪しい」というのが今回の結論です。今は一枚板の上に括りつけている為、ユニット裏から出た逆相の音が反射して正面の音と共振しているのかも。記事中の「標準BOX」で測定された波形はきれいな物なので、次は適当なのボックスに入れてみようと思います。
ちなみに0.3mHの空芯コイルを自作する方法も少し調べました。シミュレータによると、リッツ線などを直径30mmの芯に対して170回も巻きつけないといけないそうです。そこまでやった上で数値も個体差も怪しいわけですから、もうFOSTEXの純正を買ったほうがいいかもしれません。
2014/07/28 追記
書いた後も調べてみると、巻末の別記事にて-6dB/oct.ネットワークでの1oct=10kHzと書いてありました。なのでfc=19kHzでハイパス(ローカット)を入れても、ツィータは9kHz時点でまだ-6dBしか減衰していない≒まだ結構鳴ってるのかもしれません(計算上は)。
同様に今回コイルを追加したウーファーについても、fc=4.3kHz以降にウーファーの出力がストンと落ちたりはせず、もっと低い音域から緩やかな右肩下がりの減衰があると考えられます。
イメージ図ですがこんな感じ。
テスト結果「10kHz以上の帯域で-10dB弱の減衰」についても、ウーファーといいながら今まで出していた分の高域がハイカットフィルタによって緩やかに減った結果と考えられます。ツィータのカットオフを下げたので本当はもう少し補ってくれるといいのだけれど。
ステレオ 2014年8月号音楽之友社 2014-07-19 売り上げランキング :Amazonで詳しく見る by G-Tools |
FOSTEX (フォステクス) 空芯コイル 0.3mH (1個) L0.3eFOSTEX 売り上げランキング : 395613Amazonで詳しく見る by G-Tools |
FOSTEX フィルムコンデンサー(4.7μF・1個) CP4.7フォステクス 売り上げランキング : 109958Amazonで詳しく見る by G-Tools |