AMD勉強会でいただいたAMD FX-8350とASUS Sabertooth 990FX V2.0を使ってVMware ESXiのサーバに仕立てました。今回はその作成編。
あるパーツで組んだ結果
CPU | AMD FX-8350 |
M/B | ASUS Sabertooth 990FX V2.0 |
Memory | PQI DDR3-1333 4GB x2 |
VGA | MSI R5850 Twin Frozr II |
System volume | SSD Crucial C4 128GB |
Data Volume | HGST 320GB HDD |
NIC | Intel CT Desktop Adapter |
電源 | サイズ 鎌力準ファンレス 420W |
CPUクーラー | 水冷 Zalman Resarater 1 |
OSはVMware vSphere Hypervisor(ESXi5.1)を使いました。OS本体とコントロールに使うvSphere Clientの両方を無料で使用する事ができます。メモリがもっと沢山有ったならWin2012 + Hyper-Vも面白そう。
組んだ時点で心残りだったのは電源とビデオカード。最低限のエコなVGAカードと、せめて80PLUSと書かれた電源があれば、消費電力は違った結果が出たかとは思います。最後にUSB BIOS Flashbackという機能でBIOSアップデートを試みましたが上手く動いてくれませんでした。マザーボードに電源とROMの入ったUSBを挿すだけでBIOSアップ可能、という自作erにはありがたい機能なのでゼヒ体験してみたいですね。
ISOを焼いたCDから起動し、何度かキーを押すだけですんなりインストール完了。IntelのNICを刺さずにオンボードのRealteck NICを使う場合は一手間が必要そうです。
メンテ用PCにvSphere Clientをインストールし、無事「8CPU x 4.013GHz」と認識されました。
8コアを一気に使ってみる
1CPU/512MBメモリを割り当てたWindowsXPのVM(仮想マシン)を8個作りました。
起動した様子(メモリがあれば全部Windows7Enterpriseで試したかった)。
起動後のアクセスが落ち着いたところで消費電力をワットチェッカーで測ると152W。BIOSでCool’n’Quiet をONにしているものの、さすがに消費電力は高い。ESXサーバだし、起動したら画面もマウスもキーボードも抜いてしまえばもう少し下がるかも。
次に、各VMで.ts(録画)ファイルのx264エンコードを同時実行しました。約7分(811MB)の録画ファイルをVM内のローカルドライブに起き、BonTsDemux(FFMpeg)でエンコードしています。
テスト実行中の様子。アイドル中は80MHzほどの消費だったCPUリソースが、きっちり4GHzまで上昇。一部休んでいる様に見えるVMも、個別のグラフで見るときっちり4GHzで動作していました。
その時の消費電力は322W。さすがに準ファンレス電源の冷却ファンも回り出しました。単純に1コアあたり40W。4GHzのシングルコアPCと考えたら割と良いかも?スケールメリットを感じます。
起動後3時間+2回ほどテストを回したところで、放射温度計(科学すげぇ:放射温度計 | 徒労日記)でM/B上の温度を計測。
CPU水枕はぬるいくらい。室温20℃で一晩つけっぱなしにしても変化はありませんでした。
一番熱かったのはCPUクーラーとVGAの間にあるVRM用ヒートシンク。といってもケースを解放していたため、蓋を閉めれば空調による冷却がもっと効くはず。
ESXi環境では動作中の温度モニタはできないので、せっかくの10個の温度センサを眺める事が出来ませんでした。ASUS用CIMプロバイダとか無いよね・・・?
測定の結果
エンコードにかかった時間を一覧にしたものがこちら。
WinXP VM01 | 34分 |
WinXP VM02 | 33分 |
WinXP VM03 | 34分 |
WinXP VM04 | 35分 |
WinXP VM05 | 34分 |
WinXP VM06 | 34分 |
WinXP VM07 | 34分 |
WinXP VM08 | 34分 |
その後、追加として3つのテストを実行
WinXP VM01 1CPU割当 単独実行 | 25分 |
WinXP VM01 4CPU割当 単独実行 | 10分 |
LivingServer (Intel® Core™ i5-2500T Processor (6M Cache, 2.30 GHz)) | 23分 |
まず、8VM同時実行ですが、均等にCPUリソースを使えている事がわかります。完全独立していますので、8VMが全く別々の事をしていても大丈夫(キャッシュの効率は落ちるでしょうけど)。実験はできていませんが、Intel Core i7のHT4コア8スレッドモデルでもこういう結果になるんでしょうか?HTの原理から言えば、メインの4コアでフルに使う場合、残り4コアの実効は落ちると考えています。
また、1VMで実効した場合は約26%高速。Turbo Coreの上昇率よりも多い(4.0GHz→4.2GHz=x1.05)ので、このあたりはI/Oの占有とに関係があるのかも。4CPUを当てた場合はさすがの速さです。
下は参考に現在リビングでの親機となって録画をエンコードしている、Core i5マシン(Intel DQ67EPでWindows Home Serverを遊んでみる | 徒労日記)の4コアを使ったエンコード結果です。低クロックとはいえ、4コアを使ってこの結果ならFX-8350の1コアは頑張っているのでは。勉強会で話に上がった「H.264エンコードはより最適化された」が出ています。
まとめ
短期間でのテストでしたが、物理8コアを生かした仮想ホストマシンが安価に作れると確認できました。テストの為どんどんVMを作ったり消したりする場合や、「アプリの為1Jobに1VMを当てたい」なんて使い方ならFX-8350(FX-8320でもいいかと)の魅力がググッと上がってくるのでは無いでしょうか。4個と比べて、VMの役目に合わせて自由にCPUコア数を割り当てられますし。
またASUSのSabertooth 990FX R2.0は広報の方曰く、「Intelに比べて息の長いAMDチップセットのため、現在のトレンドを盛り込んでリファインした」製品。その通りで、自分のメインマシンに使っているMSI P67A-GD55よりもハードウェアモニタやOC機能が充実し、搭載部品にはハイエンドの贅沢さが味わえます。
AMDは旧LivingServerが使っていたAthlonX2 4850e以来。トップスピードは譲るものの、ローコストで面白い組み合わせとなりました。久しぶりにAMDに戻ってみてもいいかなー。最後にひとつ。お願いできるなら、サーバ用途としてOSと切り離されたリモートコントロール機能があるといいですね。Intel AMTみたいな。AMDさん、次のチップセットで考えてくれませんか?