先日@lemonade_airさんから「FOSTEXのFE83Enが1本余ってるけど使うー?」とメッセをいただきました。ハイヨロコンデー!という訳でコイズミ無線にてもう1本買い足してもらい、手元に届いたのがつい先日。
FE83En
FE83Enは30年以上前に発売されたFE83のリニューアルモデル。8cmから20cmまでそろえるFEシリーズはFOSTEXの自作用スピーカーユニットの代名詞的製品です。
ESコーンの原料となる植物は芭蕉の仲間に属する多年生植物です。
ESコーンは繊維が細くしなやかで、繊維同士が良く絡み合い、繊維の断面形状が幅広で、アスペクト比が高いため、非常にロスの少ない振動板となり、情報量が飛躍的に増大しました。
バッフル取り付け穴はφ73mmなので、8月号のウーファーの穴(φ77)がそのまま使えます。
音質的な違い
現在の回路はこんな感じです。
あいも変わらずオーディオパーツではないものの、デジットで買ってきたコイル&コンデンサに交換して6db/octのネットワークを組んであります。想定クロスオーバー周波数は4.7kHz。
右のスピーカーだけをまずFE83Enに入れ替え、左右を切り替えながら試聴して思った事は
付録SPがELACならFE83EnはJBLだなー
付録SP用に作ったエンクロージャを付録SPのツィータと合わせて聴いた感想、なのでFE83Enユーザーの方は怒らないで下さい。半年も鳴らし続けてエッジがユルユルになった付属SPと開けて2日目のFE83Enで比べるのも酷な話だし。
Stereo 8月号 付録SP
エッジやダンパーが柔らかく、バスレフポートが効果的に効いて8cmサイズを超えた低音が出る。低音強め、高音も若干強めとドンシャリ気味ではあるものの、色付けのないクリアでメリハリの効いた音がする。反面中域は引っ込んだどっしりとしたダルマ型の音像。
ボリュームが小さくても量感が出るため、どんなジャンルの音楽でもお腹いっぱいになるというか、満たされる感じがします。実は結構コスパいいんじゃないかと今回思いました。
FE83En
慣らしの最中とはいえ、やはり低音は弱い。バスレフポートから出てくるには結構ボリュームを上げる必要あり。中域が一番前に出てくるスピーカーの上空に広がるような音像。Paula MorelenbaumやGretchen Parlatoの囁く様な歌声はかなりいい。
気になったのはいかにも紙コーン臭いというか、スピーカーから出てる事を意識してしまう色が付いている事。うまく説明できないんだけど、学生の頃聴いた解像していないスピーカーの音。この(オールド)JBL的音質なので、弦や管などの楽器は味とも取れる音がするけれど、打ち込みなど解像度を追求するような曲ではすこしぼやけます。
波形測定
データでも見ておきたかったので測定しました。測定環境は少し変わってます。
- 音声出力:LUXMAN LXU-OT2(雑誌のおまけ)(PCM2704)
- 増幅:TPA1517NEを使ってAB級アンプをもう一個作るの自作アンプ
- マイク:TX-NR626付属のAUDYSSEY測定用マイク
- 録音:Z97I-PLUS – ASUSのオンボード蟹(ALC892)
同じALC892でもマザーが変わったせいなのか大分波形が安定しました。
Stereo 8月号 付録SP
まずは半年以上毎日鳴らしてきたセット
測定誤差を確認するため、このグラフのみ測定1回目と2回目を重ねてあります。大きく差がでない事が判明したため、これ以降は1回目の結果だけ貼ってあります。
FE83En(コイル付き)ウーファーをそのままFE83Enに取り替えた結果
FE83En(コイル無し)
どうにも音が曇るのが気になり、オーディオ用パーツじゃないコイルを外してみました(ツィータのローカットだけ)。
重ねあわせ
全ての測定結果を重ねあわせて比較したのが下記グラフ
ユニットにかかわらず300~500Hzに大きな谷があります。前回の測定にはなかった共振の様な音が聞こえていたので、アンプやツィータのユニットに問題がありそう。
その点を除けばFE83Enは200Hz~6kHzで付録SPよりフラットな出力を示します。低音が弱いという印象はデータに出ず、中域の強さは試聴の通り現れました。またコイルを外した緑線は2kHz以降も一定のレベルを示しており、測定終了の20kHz近辺にまで影響を与えています。ここまで来るとツィータの域、と思っていたけどフルレンジだけあって影響あるみたい。
試聴では残念と書いたけれど、FE83Enに入れ替えた事でデータでは明らかに良くなったといえます。まずは両側のコイルを外してしばらく聴き込んでみようかな。
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