前回、とりあえずZcashのマイニングを開始しました。
あとは放置するだけ、と思っていたら最低限のセッティングをするだけで同じハードでも毎日の稼ぎが違ってくるらしいのです。
そこで自分の環境で一番稼ぎが出るやり方を求めるため、設置方法やPowerLimitなどを色々試した結果を残します。
比較用のスプレッドシートを作成
まず比較の為にこんなGoogle スプレッドシートを作りました(クリックで拡大します)。
各行の意味はざっとこんな内容
- マシン/グラボ/コメント:注釈欄
- 採掘量:minerに表示されてる秒&時間あたりの採掘量。単位sol/sはH/sと同じ扱いらしい。目視。(1画面に見えるの最小値・最大値の中間値)
- 瞬間消費電力:ワットチェッカーの目視値。単位はW。(画面未表示時の安定状態でなんとなくの中間値)
- 測定時データ:サンプルとして数時間採掘し、ワットチェッカーにて経過時間(分)と使用電力量(kWh)を採取。
- 電気代:北海道電力の電気代1kWh=23.5円を使って測定時の電気代と1時間あたりの電気代を出したもの。
- 採掘量/W:1Wあたりのハッシュレートを求めたもの。単位はsol/s。
- 採掘量/day:1日あたりの採掘量。単位はZEC。※補足1
- 採掘額/day:1日あたりの採掘額。単位は円。※補足2
- 稼ぎ:採掘額から1日の電気代をひいた最終的な稼ぎ。現金化するまでの各種手数料などは含まない。
補足1:1H/sで掘れるZcashの量=採掘難易度は日々変化するため、都度CryptoCompare.comから数字を拾って単位ハッシュレートあたりの採掘量を算出します。それにグラボのハッシュスピードを掛けたもの。
補足2:1日に掘れるZcashの採掘額。採掘量/dayにZcash相場($)をかけた後日本円に換算したもの。同様にCryptoCompare.comからZcash相場を都度拾って入力しています。
円相場はセルに
=GoogleFinance(“currency:USDJPY”, “average”)
と入れると自動取得されるので便利ですね。
あとは対象やセッティングを変える度に電力量など計測して当てはめていけば、結果的にどの設定が一番儲かるかわかる仕組み。
テスト1:PowerLimitによる効率の変化
まずシンプルにメインPCに挿したGTX1080TiがPowerLimit(PL)=出力制限&温度制限によりどう変わるかを調べました。PLはGigabyte純正のAUROS GRAPHICS ENGINEで調節しています。
上から「PL89%、80℃制限」「PL80%、76℃制限」「PL63%、70℃制限」の3つ。
ハッシュパワーはもちろんPL89%が一番ですが、1Wあたりの採掘量が多い=一番電力効率よく採掘できたのはPL63%です。しかし最終的に1日あたりの稼ぎを見ると真ん中のPL80%が一番良くなりました。
これは電力効率の差よりも採掘量の差の重みが大きい事を表しています。そのため電力効率が多少悪くても、全採掘量が落ちるくらいならある程度はパワーかけたほうがトータルで良い、という結論を得ました。
上記の結果から、我が家のカードはとりあえず全てPL80%設定にしてあります。
テスト2:家にあるグラボを全部試す
前回書いたGTX1080、GTX1080Tiの他、リビングサーバ用に買ったGT1030,Lenovo Y520に積まれたGTX1050Ti、買い替え前に使ってた670GTXなんてものもあります。
これらを総動員した方がいいのか、それとも大人しく寝せておいた方がいいのか試してみました。
GT1030と670GTXのハッシュパワーはどんぐりの背比べ、僅かに670GTXが高いくらい。10sol/sって誤差のレベルですよ。
しかし消費電力には雲泥の差があり、670GTX単体でマイニングすると見事赤字。Zcashが1枚$600くらいにならないと黒字化は無理そうです。
GT1030はかろうじて儲けが出ていますが、全体にしめるCPU等基本パーツの電力比率が大きくなるため、単体で掘っても装置の損耗に見合わないでしょう。
Lenovo Y520のGTX1050TiはPascalコアだけあって優秀。GT1030の3倍のハッシュパワーがありながら、システム全体の消費電力は2倍に収まっています。ただこれも1日44円の稼ぎのためにノートPC全体が損耗していくと思うと、あまり常用する気にはなれません。電源ONしたついでに掘るくらいですね。
Y520はチップセットグラフィックスとGTX1050Tiを同時に使用するハイブリッド。GTX1050Tiでマイニングをしていもデスクトップの描画はCPUが行うため、デスクトップに比べながら採掘でも重くならないというメリットが分かりました。ノートPCを開いた時は自動的にマイニングを開始しても良さそうです。
テスト3:グラボの設置方法で変化はおきるか
最後に蓋が閉まらなくなったリビングサーバのため、PCIe延長デバイスを買って1080の横置きを試してみました。
一つはマイニングが流行りだしてから一気に広まったPCIe x1 → PCIe x16延長ライザカードアダプタ。
USB3.0ケーブルを使ってPCIexpressスロットを数十センチ引き出せます。USB3.0ケーブルで済む時点でPCIe x1の必要な信号線は9本も無いという事でしょう。
もう一つはPCIe x4延長フラットケーブル。
この前に買った玄人志向のPCIEX16-X1/KITが速攻接触不良になったので買い直したもの。ただ、メス側コネクタに切り欠きが無いため、PCIe x16のグラボが刺さりませんでした。この接合部を青テープで止めただけのものは曲げにすごく弱いので注意です。
単身では今ひとつだったGT1030を横置きにして追加し、まずは1080+1030でサンプリング。
ケース左上の8cmファンは吸気になっており、冬の北海道のひんやりとした空気をグラボに届けます。この時の室温は18度。
続いてGTX1080を横置きにし、蓋をしめてどうなるか試しました。
長時間運用するなら、ホコリの存在は無視できないのではないかと。
最後は蓋をあけて、自由冷却です。
1080は厚い木片の上に置いただけで、空中に浮いているわけではありません。
GT1030はPT2とPT3の間の狭いスペースに入っており、放熱は厳しめ。上からNoctua.atの14cmファンでPCHごと吹付け冷却しています。
こうして取った3つの結果がこちら。PLは89%、温度は70℃リミットです。
まずどの結果もGT1030を追加することで、+50ほどsol/sが向上しました。追加による電力差が瞬間値の読み取り誤差に収まってしまう程度なので、2枚目以降であれば利用しない手は無いでしょう。
グラボの置き方による比較では「蓋を開けた縦置き」が僅かながら一番という結果になりました。ファンに冷えた空気が入る横置き有利かと予想したものの、実際は背面のバックプレートの熱が籠もるマイナスが大きいようです。ただし、そこまでの差ではないためホコリ対策を考えれば横置きにしてしまうのもあり。
気になる蓋閉めははやり採掘量に悪影響が出ました。サーマルリミットに当たるのかハッシュレートが目に見えて落ちています。ただしパワーが下がるため、1Wあたりの採掘量は3種中一番に。やはりPLはある程度低いほうが良さそうです。
まとめ
最後にこれまでの測定結果を一気に載せた表がこちら。
以上、GTX1080+GT1030の組み合わせについてまとめると
- 毎日260円~340円程度儲かる
- PLは80%くらいでバランスする
- グラボは前背面開けた方が有利
- 蓋はない方が良い
冬季間どうしても冷えてしまう客間に蓋を開けて置いておけば、部屋は温まるしグラボは冷えるしで一石二鳥なのでは!?
現在の負債総額92,800円を貯めると、完済まであと274日。この記事を書いている時はZEC1枚あたり$421.7という厳しいZcash相場が続いてます。また1枚$600の日々が戻るまで、コツコツと採掘を続けたいと思います。
興味深い記事に見入りました!
コインチェック騒ぎでグラボが少し売れなくなるのでw、暗号レベルチョット下がるかもしれませんね(;´∀`) 今後の躍進期待しております!