WiMAXとDSLを同時に使って対障害な回線二重化を行う

WiMAXとDSLを同時に使って対障害な回線二重化を行う

マンスリー物件のブロードバンドサービス(DSL)が不調な為、WiMAXを契約しました。ココまでの経緯や価格などはよろしければ下の記事をお読み下さい。

NEC Aterm WM3600Rとクレードル

DTI WiMAX モバイルプラン(定額2年プラン)【Aterm WM3600R】で申し込み、三日ほどで到着。通常の仕事に持ち出して使ってみたところ、11時間連続で待ち受けができました(連続ダウンロードは行わず、30分に1回iPhoneでTwitterや調べ物をする程度)。待ち受けの省電力機能が効果的に働いている様です。

クレードルはプラスチック製で必要最低限といった作り。MicroUSBの充電端子、有線LAN、AP;RTモード切替スイッチがつきます。前面にPowerLEDと有線アクセスLED。接続する時に比べて外すときはかなりチカラが要ります。両手でグイグイ引っ張ってとれる位なのでいつか壊しそう。

二つの回線を両方とも使う

二つのデフォルトゲートウェイ

素直にWiMAXだけを使おうとする場合、「WiMAXを持ち出したとき、部屋のデスクトップにリモートアクセスできない」「WiMAXを外すたびに設定の変更が必要になる」といった問題が考えられます。

それを解消し自分の望む形は以下三つ。

  1. WiMAXが部屋にある時:WiMAXをメイン回線として使用
  2. WiMAXを持ち出す時:DSLを回線として使用
  3. 常に一定通信を行う札幌自宅<>東京のVPNは常時DSL回線を使用

探したところWindowsの「デフォルトゲートウェイの二重設定」が使えそう。

マルチホーム コンピュータのデフォルト ゲートウェイ設定


複数のデフォルト ゲートウェイの一般的な用途は、プライマリ ゲートウェイ (ルーター) に障害が発生した場合のバックアップ ゲートウェイを設定することです。このバックアップ ゲートウェイは、停止ゲートウェイ検出機能に従って使用されるもので、ゲートウェイの切り替えは、TCP または接続指向のトラフィックでしか行われません。

通常デフォルトゲートウェイはPCに一つのみですが、対障害用としてなら二つ以上のゲートウェイを定義しておけるそうな。これでWiMAXの有線LANポートをプライマリゲートウェイに、DSLをセカンダリゲートウェイにすればいけそう。ちなみにNICをもう一枚挿して異なるゲートウェイを指定するのは御法度。

図にすると

こんな感じ。

設定

自分はWindows7ですが、XPでも同様に設定できます。通常通りTCP/IPの設定をした後、画面の右下[詳細設定]を押し、「TCP/IP 詳細設定」を開きます。

デフォルトゲートウェイをの欄にて明示的にWiMAX(192.168.1.220)を優先するため、メトリックを10に変更。さらにDSL(192.168.1.200)を追加し、メトリックを20とします。
DNSもルーターのIPを指定している場合は2個定義が必要。もしくはGoogleなどのパブリックなDNSを指定します。

最後にコマンドプロンプトを開き、VPN用のスタティックルートを追加。-pは再起動後も有効にする恒久的オプション。設定が終わったらroute printコマンドで反映されているか確認します。

C:\>route -p ADD 10.1.1.0 MASK 255.255.255.0 192.168.1.200 METRIC 30
 OK!
C:\>route print
===========================================================================
インターフェイス一覧
(中略)

IPv4 ルート テーブル
===========================================================================
アクティブ ルート:
ネットワーク宛先        ネットマスク          ゲートウェイ       インターフェイ
ス  メトリック
          0.0.0.0          0.0.0.0    192.168.1.220      192.168.1.1     30
          0.0.0.0          0.0.0.0    192.168.1.200      192.168.1.1     40
        10.1.1 .0    255.255.255.0    192.168.1.200      192.168.1.1     50
        127.0.0.0        255.0.0.0            リンク上         127.0.0.1    306
        127.0.0.1  255.255.255.255            リンク上         127.0.0.1    306

2つのデフォルトゲートウェイ(宛先0.0.0.0)とVPNのルートが追加されている事を確認。

動作確認1-回線の二重化

思ったような動きをしているか順番にテストしてみます。

まずは、WiMAXでの通信中にWiMAXクレードルのLANケーブルを抜き、

C:\>ping 8.8.8.8 -t

8.8.8.8 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =111ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =94ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =92ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =85ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =93ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =165ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =94ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =92ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =84ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =107ms TTL=52 ←*WiMAX切断*
要求がタイムアウトしました。
要求がタイムアウトしました。
要求がタイムアウトしました。
要求がタイムアウトしました。
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =9ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =8ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =12ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =12ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =9ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =11ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =12ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =11ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =12ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =8ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =12ms TTL=53
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =12ms TTL=53 ←*WiMAX復帰*
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =106ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =189ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =87ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =90ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =53ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =107ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =79ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =47ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =85ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =88ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =86ms TTL=52 ←*DSL切断(影響なし)*
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =89ms TTL=52
(中略)
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =67ms TTL=52
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =85ms TTL=52

8.8.8.8 の ping 統計:
    パケット数: 送信 = 59、受信 = 55、損失 = 4 (6% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
    最小 = 8ms、最大 = 189ms、平均 = 73ms
Ctrl+C
^C
C:\>

タイムアウト一行が5秒ほどなので切り替えは約20秒から25秒といったところ。監視のパラメータか何か変更してもっと速く切り替えられたらベターなのに。
一方WiMAXを再接続した際のルート復帰は瞬時に行われています(Pingの応答速度が急に変わる点に注目)

動作確認2-特定相手先に対する経路変更

もう一つは特定相手先に限り、必ずDSLを使って通信する指定です。自分の場合、札幌とのVPN通信なんですが、タイミング悪く相手が回線故障中。とりあえずテストとしてGoogleのIP(74.125.235.177)を追加、Googleのアクセス時にDSLが使われているか確認しました。
両回線が正常な状態で

C:\>tracert www.google.com

www.l.google.com [74.125.235.177] へのルートをトレースしています
経由するホップ数は最大 30 です:

  1    <1 ms    <1 ms    <1 ms  192.168.1.200
  2     2 ms     2 ms     2 ms  192.168.1.1
  3     6 ms     5 ms     6 ms  tokyo2-5.ntt-poi.FreeBit.NET [219.99.81.167]
  4     6 ms     6 ms     6 ms  219.99.81.161
^C
C:\>
C:\>
C:\>tracert www.yahoo.com

kr-fp3.wg1.b.yahoo.com [111.67.226.84] へのルートをトレースしています
経由するホップ数は最大 30 です:

  1     1 ms     1 ms     1 ms  aterm.me [192.168.1.220]
  2     *        *        *     要求がタイムアウトしました。
  3    93 ms   104 ms    64 ms  172.27.68.11
  4    87 ms    84 ms    89 ms  119.107.206.49
  5  ^C

ちゃんとそれぞれに振り分けられている様です。VPN回線は常に一定パケットを発生するのと、一時的に切れてもそれほど影響が無いので、速度重視でDSL回線を使用したいと思います。

現在この構成でdiabloやってますが突然つながらなくなる事も無いし快調そのもの。一つ面倒なのは、クレードルから取り出したWR3600は一度OFF/ONしないとWi-Fiルーターとして動作しないということ。NECさん、クレードルの取りはずし判定をファームに是非お願いします。

One thought on “0

  1. 判る。判るぞー。
    ”メトリック値”勉強になったぞー。
    ブレッドリー・ファースト先生も喜んでいるに違いない。

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